稽古メニュー モデル1


 実は、稽古メニューについての問い合わせがあり、この剣道雑記帳の中で取り上げてみることにしました。
 この稽古メニューは、週5日、1時間半、高校の道場を借りて稽古しているというある女子大を対象に組んでいます。少人数で経験者から初心者まで実力格差があるとのことですので、基本稽古を中心に考えてあります。

重点項目

月曜日

火曜日

水曜日

木曜日

金曜日

基本・剣道形
切返し・打込み
技の稽古
切返し・打込み
地稽古・試合稽古

月曜日

実施メニュー

時間

実施要領

準備体操、ストレッチ

15分

胴と垂を着けずに行う。

すり足

10分

道場を斜めに使い、前と後ろを行う。
ポイントは、1)左足を右足より前に追い越さない 2)中段の構えが揺れないようにする 3)姿勢が崩れないようにする(とくに後ろの時、腰が引けないように) 4)できるだけ速い速度で行う。

基本 面・小手・胴・突の三挙動と一挙動

15分

胴と垂れを着けず、木刀を持って行う。
三挙動は、号令「1」で振りかぶり、「2」で右足より前に進みながら打ち、「3」で左足より元の位置に戻りながら中段の構えに戻る。突は、「1」で右足より進みながら突き、「2」でその場で中段の構えに戻り、「3」で左足より元の位置に戻る。
一挙動は、号令「打て」で、三挙動をひとつの流れで行う。打突時にはしっかりと発声する。

日本剣道形の稽古

30分

相手、打ち太刀・仕太刀を変えながら、繰り返し実施。
演武形式で、他の部員に見てもらうのもいいだろう。

素振り

15分

上下素振り、前進後退面の素振り、前進後退左右面の素振り、跳躍早素振りを適宜行う。

整理体操・ストレッチ

5分

適宜行う。

月曜日は週の最初。あまり飛ばしすぎるとイヤになってしまう。また、日曜日に大会などで疲れていることも考えられる。そこで、基本と日頃あまりできない日本剣道形の稽古のみとした。

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火曜日・木曜日

実施メニュー

時間

実施要領

準備体操、ストレッチ

15分

胴と垂を着けずに行う。軽い素振りを混ぜてもよい。

整列・防具装着・礼・面着け

10分

左右面の切返し

20分

2人組を作り、2列でローテーションしながら実施する。
正面打ちの後、前進4本後退5本の左右面を打つ。これを2回繰り返し、最後に正面打ち。
元立ちは竹刀で受けず、左右面を打たせる。ゆっくり大きく正確に行うこと。
交代しながら3〜5セット。

竹刀で受ける切返し

上記のようなゆっくりした動作で、元立ちが竹刀で受ける。
交代しながら3〜5セット行う。

左右胴の切返し

上記のようなゆっくりした動作で、元立ちは左右の胴を打たせる。
交代しながら3〜5セット行う。

早く一息の切返し

正面打ち→前進4本後退5本の切返し→正面打ちを1回のみ、一息で素早く行えるようにする。
交代しながら5〜10セット行う。

打込み(A)
  (単発の技)

30分

2人組を作り、2列でローテーションしながら実施。
正面→小手→胴→小手面→小手胴→正面というパターンで打込む。
最初の正面の前にしっかりと掛け声をかけて気力を充実させ、打ちはじめたら止まらず気持ちを切らないで最後の正面まで行う。
交代しながら3〜5セット行う。
大きく正確にするのがポイントだが、場合によっては小さく早く実施してもいいだろう。

打込み(B)
  (連続技)

面面面→小手面面→小手面小手面→小手面胴面というパターンで打込む。
最初の面面面に入る前に、しっかりと掛け声をかけ気力を充実させ、打ちはじめたら止まらず気持ちを切らないで行うこと。
交代しながら3〜5セット行う。
小さく早く実施してもいい。

打込み(C)
  (体当たり)

面体当たり引き面→面体当たり引き小手→面体当たり引き胴→正面というパターンで打込む。
最初の面に入る前に、しっかりと掛け声をかけ気力を充実させ、打ちはじめたら止まらず気持ちを切らないで行うこと。
交代しながら3〜5セット行う。
小さく早く実施してもいい。
体当たりの時、元立ちがさがらないように注意する。「手当たり」にならず、しっかり腰からぶつかれるようにする。

打込み(D)
  (総合)

以上(A)〜(C)を元立ちが自由に打突させる。
20秒〜30秒で区切るようにする。
交代しながら5〜7セット行う。

切返し・整列・礼

10分

切返しは「調息」の意味を込めて、しかし気を抜かずに行う。上記の「竹刀で受ける切返し」でいいだろう。

整理体操・ストレッチ

5分

適宜行う。

しっかりとした打突力とバランス力を作るのがこの稽古の目的。息が上がっても、ロスタイムを出さないようにテンポよくローテーションを行いこなしていく必要がある。「大きく・早く・正確に」を目標に頑張りたい。

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水曜日

実施メニュー

時間

実施要領

準備体操、ストレッチ

15分

胴と垂を着けずに行う。軽い素振りを混ぜてもよい。

整列・防具装着・礼・面着け

10分

左右面の切返し

10分

2人組を作り、2列でローテーションしながら実施する。
正面打ちの後、前進4本後退5本の左右面を打つ。これを2回繰り返し、最後に正面打ち。
元立ちは竹刀で受けず、左右面を打たせる。ゆっくり大きく正確に行うこと。
交代しながら2セット。

竹刀で受ける切返し

上記のようなゆっくりした動作で、元立ちが竹刀で受ける。
交代しながら2セット行う。

左右胴の切返し

上記のようなゆっくりした動作で、元立ちは左右の胴を打たせる。
交代しながら2セット行う。

早く一息の切返し

正面打ち→前進4本後退5本の切返し→正面打ちを1回のみ、一息で素早く行えるようにする。
交代しながら3セット行う。

しかけ技(諸手突)

40分

2人組を作り、2列でローテーションしながら実施。
以下、3本を1セットとし、必要に応じて3〜5セット行う。
しっかりと間合をとり、一本一本試合のつもりで打ちきること。はずれてしまった場合は、すぐに次の打ちを出す習慣をつけたい。
以下はその全てを行うのではなく、必要なものを選択して行う。

しかけ技(面)

表や裏から竹刀を抑えなどして打つ。

しかけ技(小手)

相手の竹刀の上からも下からも打てるようにする。

しかけ技(胴)

上級者は逆胴も練習しておくといいだろう。

しかけ技(小手面)

同じようなスピードで打てるのがベスト。

しかけ技(小手胴)

しかけ技(払い面)

表と裏の両方の払いがある。

しかけ技(払い小手)

裏からの払いが一般的である。

しかけ技(面フェイント小手)

小手を斜めから打たないように注意。

面に対しての返し技(出小手)

相手の手元の上がり際を打つ。

面に対しての返し技(抜き胴)

出小手と同じように、相手の動きを感じたら打ちに入る。

面に対しての返し技(応じ返し胴)

面を表鎬で受け、返して胴を打つ。

面に対しての返し技(すり上げ面)

体を右斜め前にさばきながら、表鎬ですり上げて打つ。

小手に対しての返し技(すり上げ面)

小手を裏鎬ですり上げて面を打つ。

小手に対しての返し技(打ち落とし面)

相手にあわせて小手を打って相打ちに打ち落とし、素早く面に乗る。

小手に対しての返し技(返し面)

表鎬で小手を受け、返して面に乗る。

切返し・整列・礼

10分

切返しは「調息」の意味を込めて、しかし気を抜かずに行う。上記の「竹刀で受ける切返し」でいいだろう。

整理体操・ストレッチ

5分

適宜行う。

打込みと技の稽古は違う。「間合・呼吸・攻め」を考え、工夫しながら試合と同じような気持ちで取り組むことが肝要。また、外れてしまった後、直ちに次の技を打つ習慣をつけることも大切だ。
返し技は、「面に対して」と「小手に対して」をそれぞれ1種類ずつは自信をもって打てるものを作りたい。

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金曜日

実施メニュー

時間

実施要領

準備体操、ストレッチ

15分

胴と垂を着けずに行う。軽い素振りを混ぜてもよい。

整列・防具装着・礼・面着け

10分

左右面の切返し

10分

2人組を作り、2列でローテーションしながら実施する。
正面打ちの後、前進4本後退5本の左右面を打つ。これを2回繰り返し、最後に正面打ち。
元立ちは竹刀で受けず、左右面を打たせる。ゆっくり大きく正確に行うこと。
交代しながら2セット。

竹刀で受ける切返し

上記のようなゆっくりした動作で、元立ちが竹刀で受ける。
交代しながら2セット行う。

左右胴の切返し

上記のようなゆっくりした動作で、元立ちは左右の胴を打たせる。
交代しながら2セット行う。

早く一息の切返し

正面打ち→前進4本後退5本の切返し→正面打ちを1回のみ、一息で素早く行えるようにする。
交代しながら3セット行う。

地稽古

40分

元立ちを数人立て、その人が時間内は連続で稽古を受ける。互格稽古だけでなく、元立ちの裁量で時間を決めるほか、切返し・打込み・かかり稽古を交えてもよい。
一人と長くなりすぎないように注意する。

互格廻り稽古

2人組で2列を作り、一定時間で区切ってローテーションで互格稽古を行う。一定時間内に、何本有効打突をとれたかを競うようにして、よけたりかわしたりすることにこだわらず、自由闊達な攻めを展開する。

一本勝負稽古

元立ちを数人たて、一本勝負をする。互いの判定でもいいし、待っている人が判定してもいい。一本にこだわって勝負をする。
「勝ち残り」とか「負け残り」、「負けた方がかかり稽古」などのバリエーションもある。

試合稽古

正規のコートで3人の審判を立てて行う試合形式の稽古。
回転をよくするなら、試合時間を短縮しての三本勝負や一本勝負、実力差があるのなら、最初から下位者に一本を与えておいてのハンディキャップ試合もありうる。

切返し・整列・礼

10分

切返しは「調息」の意味を込めて、しかし気を抜かずに行う。上記の「竹刀で受ける切返し」でいいだろう。

整理体操・ストレッチ

5分

適宜行う。

地稽古、互格廻り稽古、一本勝負稽古、試合稽古は、毎回全部を行うのではなく、その都度1つあるいは2つを選択して行うようにする。
時間があれば、最後の切返しの前に、数回かかり稽古を行うといいだろう。

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