足さばきの指導法(3)

(「踏み込み足」-前 2000/09/09)
この一文は、「クラブオブ剣道 & タギリ金属の掲示板」に書き込みしたものを土台にして加筆訂正したものです。

 この『Hide.剣道研究室』の、『剣道雑感「一言物申す!」』にも「踏み込み足はなぜ解説されないの?」というお題で一文を書く予定でしたが、こちらの方が先になってしまいました。
 これを話しだすと長くなりますからここではやめますが、あえて、剣道界のタブーとも言うべき「踏み込み足」を取り上げてみたいと思います。


 これも最初は竹刀を持たせずに、腰に手を取って足だけ分離して教えるとわかりやすいようです。

 単発の前方への「踏み込み足」は、基本の足型から、
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 1.左足を蹴り出し(一次跳躍)、右足を重心と一緒に前に送りだす
 2.右膝を軽く屈曲させた状態で、指の付け根の足底部分から着地
 3.右踵の着地に併せて床を踏み締め、右膝上の大腿直筋を使い、左
   足を引っ張り込みつつ踏み込んだ反動で軽く跳躍(二次跳躍)
 4.左足を「基本の足型」の予定位置に、指の付け根の足底部分から
   着地
 5.右足を左足に対して「基本の足型」の位置に、指の付け根の足底
   部分から着地
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 ここで大切なのは、「踏み込み足」は一段ロケットではないということです。「右足で左足を引っ張り込む」という動作があるため二段ロケットになっています。上記した通り、左足で蹴り出す動作を「一次跳躍」、右足で左足を引っ張り込む動作を「二次跳躍」と名付けました。 したがって「踏み込み足」を指導する際は、ここまでをひとつの動作として教える必要があります。これを怠るとあとあと「蹴り放し」や「左足の遅れ」が深刻な技術的欠点として残ってしまいます。

 留意点としては、
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 ●最初は2の右足を着く歩幅を小さくし、右足での二次跳躍を意識的に大   
  きく(高く)してみる(引っ張り込みの意識化)
 ●「トン、タタ」というリズムを意識する
 ●左足でカラダ(右足)を押し出すとき、姿勢を崩さない(背中を丸
  めない・お尻を突きださない・前傾しない)
 ●4で二次跳躍している右足より前に左足を着地させない(右足前の状態
  を厳守)
 ●練習段階では、この動作だけでピタリと止まる(姿勢を崩さない)
 ●5で二次跳躍後、左足の着地位置に対して右足が前に出すぎない(基本  
  の足型の厳守)
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です。

 上記「トン」は踏み込みの音、「タタ」の最初の「タ」が左足の着地、次の「タ」が右足の着地です。
 厳密に言うと「面の踏み込み足」と「小手の踏み込み足」は異なるのですが、基礎の段階ではそれにこだわる必要はないと考えます。また、熟練者ほど打突が先で踏み込みがあとになる傾向が強いのですが、初心者には、2の右足の着地と打突を一致させるように指導します。


 「踏み込み足」の稽古方法は、子供達を一列にして、笛の合図などでこれを稽古するといいでしょう。最初は一次跳躍による右足の歩幅を小さく、慣れてきたら大きくします。

 バリエーションとしては、「すり足」の間に笛の合図で「踏み込み足」を入れる稽古をさせますが、これはかなり難しい技術です。

 また、「小手面」のように「小さく→大きく」という二段の踏み込みや「均等な歩幅で」の連続踏み込みも応用的な動きではありますが、足だけ取りだして稽古させてやるとわかりやすいものです。これは、いずれ別項を立ててお話したいと思います。


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