記事タイトル:正眼の構え 


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お名前: Hide.    URL
to 猫銀さん

>いえとんでもない、稽古サボって本ばかり読んでる暇人です。 

そうですか、たくさんの資料に囲まれてお過ごしなんですね。
なんともうらやましいような境遇ですね(^o^) 
私も研究者志望だったんですがね。大学院浪人中に挫折してしまいまして。
根性なしなものですから(^^;


>私もこのサイトで勉強させていただいておりますので、恐縮です。

恐れ入ります。
猫銀さんのような方から見れば笑われてしまうようなものでしょうが、こんな町の剣道愛
好家でも少しはみなさんのお役に立てるようにと頑張らせていただいております(^^)

お名前: 猫銀   
to Hide.さん

いえとんでもない、稽古サボって本ばかり読んでる暇人です。 
 
私もこのサイトで勉強させていただいておりますので、恐縮です。

お名前: Hide.    URL
to 猫銀さん

>普通の仕事をしながら稽古にも励んでいる人はそこまで勉強する余裕は無いはずです。

なるほど、そう言っていただきますと安心いたしました(笑)
ってことは、猫銀さんはそちらの関係者さんていう事なんですね。
どうりでお詳しいわけだ(^^)


>現代剣道では、竹刀と前腕がつくる角度は140度前後になりますから、「斬り手」
>というのは直角ではないにしろ浅くはない角度・・・110から120度くらいにな
>る握り方といえるでしょう。

アハハ、角度を測って見たことがありませんので、自分の構えがどうなっているかってこ
とはさっぱりわかりませんし、数字ではイメージできませんね(^^;
ただ、20度〜30度違えば、かなり手首が立った形(剣先が高く)になりそうですね。

お名前: 猫銀   
to Hide.さん

ここでいう「剣道関係者」は大学の教授とか武道学会の会員とか研究を仕事にしている
人たちのことですから気になさらずとも結構ですよ。
普通の仕事をしながら稽古にも励んでいる人はそこまで勉強する余裕は無いはずです。

「斬り手」云々については説明不足だったので、補足しておきます。
窪田清音は、以下の三つの握り方を示しています。

「留め手」・・・相手の打ち込みを強く留める時に用い、太刀と持つ手の角度が直角に
        なる
「斬り手」・・・当流で常に用いるようにすべき握り方

「延べ手」・・・相手を突く際に出る手、自分の親は「突き手」と呼んでいた、
        斬る場合には力が入らないので常に用いるべきでない

上のような内容でしたから、手の内というよりも太刀を保持する腕の角度によって
握り方を分類していたようです。 現代剣道では、竹刀と前腕がつくる角度は140度
前後になりますから、「斬り手」というのは直角ではないにしろ浅くはない角度・・・
110から120度くらいになる握り方といえるでしょう。 

お名前: Hide.    URL
to 猫銀さん

>いえ、どういたしまして。 自分だけで死蔵していても仕方のない知識ですので、
>何らかのお役に立てれば光栄です。

とはいえ、こんな下のほうのトピ、おそらくは管理人である私しか見ていないと考える
とたいへんもったいなく思いまして・・・(^^;
いずれ、連載している雑誌などに取り上げさせていただこうとは考えておりますが(^^)


>ちょっとこのことに関連して述べますが、古流の剣術において左半身の八相や脇構えを
>重視していたのは、左目を主に使っていたことが一因ではないか、と愚考します。

う〜ん、右利きの人は一般的に右目が利き目であることが多いようですよ。
利き目を制するほうが理にかなっていると思われますが・・・?(゜_。)?(。_゜)?
やはり右脳との関係なのでしょうか???


>の著作は、剣道関係者の間でも広く読まれています。 にもかかわらず、その
>関係が取り上げられてこなかったのは何故でしょうか? おそらく、古流の構えが
>当人の視点で表現されているのに対し、近代に入って書かれた多くの剣道書が第三者、
>すなわち指導者が横から見た視点で表現されているために気がつかなかったのではな
>いか、と思います。 

恥ずかしながら窪田清音という名前すら知りませんでした(^^;
しかし面白い考察ですね。


>窪田清音は、握り方についても「斬り手」が基本であり「延べ手(突き手)」は例外
>としています。

「斬り手」がどのようなものか不明ですが、高野佐三郎や中山博道の現存する構えの写真
を見てみますと、たぶんに「わしづかみ」したような握りになっているのに気がつきます。
この握りでは「速くは打てないのでは」と勝手に想像していたのですが、猫銀さんのカキ
コでナゾが氷解したようです(^o^) 
いつもながら、ありがとうございますm(_ _)m

お名前: 猫銀   
現代剣道の基本である「中段の構え」がどこからきたのか・・・・・

私は、幕末に講武所の教授であったといわれる窪田清音(くぼたすがね)が示した
中段の構えがその源である、と考えています。 剣術に関する多くの著作を残して
おり、その中で自流の上中下段の構えを示した上で中段の構えを基本としています。
具体的には、

上段は、相手の眉間に付ける、他流でいうところの正眼である

中段は、相手の乳の高さに付ける

下段は、相手の腰より下に付ける

ここで示されている構えは、正眼の構えを上中下の三段に分けたものです。 そして、
「・・・に付ける」という表現は下で述べたように自分の目と対象となる部位を結ぶ
線上に剣先を置くことですから、自他の身長が同等である場合、「乳の高さに付ける」
中段の構えは、横から見ると自分の目の高さと相手の乳の高さのほぼ中間、すなわち
咽喉の高さになります。 これは、戦前の剣道で一般的だった教え方「中段の構えは
咽喉の高さにする」と一致しています。 

以上のことから、窪田清音の教えである「正眼の構えを三段に分けたうちの中段の構え」
が講武所経由で剣道のスタンダードになっていった、と考えられます。 

窪田清音の著作は、剣道関係者の間でも広く読まれています。 にもかかわらず、その
関係が取り上げられてこなかったのは何故でしょうか? おそらく、古流の構えが
当人の視点で表現されているのに対し、近代に入って書かれた多くの剣道書が第三者、
すなわち指導者が横から見た視点で表現されているために気がつかなかったのではな
いか、と思います。 

また、戦後は「延長線を咽喉につける」中段の構えが多くなってきたようですが、これ
は試合に合わせて竹刀の握り方が変化し剣先が下がってきたために戦前の「咽喉の高さ
にする」中段とは別の説明をする必要がでてきたせいではないでしょうか。
窪田清音は、握り方についても「斬り手」が基本であり「延べ手(突き手)」は例外
としています。 この延べ手とは、竹刀を伸ばして突きや刺し面をくれる時の手で、
打ち込みの際には真剣の重さや打突時の衝撃に耐えられない、としています。
現代剣道で教えられている基本の握り方は、この延べ手に近いのです。 

お名前: 猫銀   
ついでですから、ここに書かせてもらいましょうか。 

「上段の構え」・・・太刀を振り上げた形に由来するもの

「下段の構え」・・・太刀を振りおろして再び起こらんとする形に由来するもの

「中段の構え」・・・その中間に位置するもの

一般的に太刀が肩より上に存在するものを上段、腰より下に在るものを下段、肩から
腰にかけての位置にあるものを中段としている流儀が多いように見受けられますが、
天地人三才(儒教の用語です)の構えのように、切っ先が天空を指すか地面を指すか
相手を指すかで分けている場合もあり、判然としません。 また、流儀によっては
正眼や八相、霞などの構えを上中下に分けていることがあり、同じ言葉でも共通した
見方をするのが難しいといえます。

上中下という区分をするからには、それが何の構えで、何の高さを基準としているか
示す必要があるのですが、剣道の基本ではそれが示されていません。 現代剣道には、
さまざまな流儀の剣士がそれぞれの解釈を持ち込んできているので、もはや統一した
明確な見解を示すのは無理でしょう。 

さて、以上のことを踏まえて正眼と中段の関係についてですが・・・・・(上に続く)

お名前: 猫銀   
to Hideさん

いえ、どういたしまして。 自分だけで死蔵していても仕方のない知識ですので、
何らかのお役に立てれば光栄です。

>大日本武徳会剣道形・・・・なるほど、そうでしたか。 これは日本剣道形の前身
でしたか? どうもうろ覚えですみません・・・・。

>「左目に付ける」とした場合ですか?  これも延長線ではなく剣先を左目の高さに
します。 この場合は、相手が左半身になって顔もやや斜めになっていて、眉間に付け
たのでは中心がとれないのでやむをえず左の青目に付けるということにしたのだと思い
ます。 
ちょっとこのことに関連して述べますが、古流の剣術において左半身の八相や脇構えを
重視していたのは、左目を主に使っていたことが一因ではないか、と愚考します。
剣道の稽古では基本的に一人の相手に集中していれば良いのですが、これが実戦という
ことになると、相手が複数であったり、相手の武器が長いものであったり、また或いは
見えている得物以外にも別の武器を隠し持っていることまで考慮に入れなければなりま
せん。 そこで視界を広くとって不測の事態に対応する必要性がでてくるのですが、
このとき芸術脳とか感覚脳と呼ばれる右脳を大きく働かせていたと思われます。
左脳は言語など論理的思考を司る際に働き、対して絵を描いたり音楽を聞いたり、直観を
要求される作業においては右脳が大きく関与するといいます。 そして、左目の視神経は
右目のものと交差する形で右脳につながっているのです。 昔の戦闘機のパイロットは、
操縦する時に頭を右に傾けている者が多かったそうです。 敵機をいち早く発見するため
に左目の視界を大きくとって右脳を駆使していたからといわれています。 これと同様に
昔日の剣士には左を利き目としている者が多かったので左半身をとる傾向があったといえ
るのではないでしょうか? 

お名前: Hide.    URL
To 猫銀さん

またまた、ありがとうございます(笑)

正眼と中段って違うんですよね。
大日本武徳会剣道形では、中段と正眼(晴眼)は記述が使い分けられておりますし、事実、
制定委員であった「高野×中山」のビデオでは、それがきちんと使い分けられています。

二本目は互いに「中段」ですね。
五本目と六本目の仕太刀は「晴眼」です。
七本目は互いに「晴眼」となっています。

「正眼」は「晴眼」「星眼」「臍眼」等もあるようですし、小野派一刀流には「大正眼」
「中正眼」「真剣」なども中段の構えの範疇に入るとされています(^^)


>真剣には反りがありますから、延長線は弧を描いて対象から逸れていってしまいます。

この場合、「左目に付ける」としたならば、「左眼の高さに切っ先が来る」のですか?
それとも、「弧を描いていった先に左眼が来る」のでしょうか?(^^;


>正眼と中段の関係については、項を改めて述べたいと思います。

楽しみにお待ちしております(^0^)

お名前: 猫銀   
またまたお邪魔します、猫銀です。 正眼ですか・・・。

一般論を補足させてください。

正眼の構えは、敵の斬撃を打ちとめると同時に剣先が敵の顔面を襲う、という攻防一体
の技の形に由来しています。 掛かってくる敵の勢いが強ければ勝手に刺さってくれま
す。 また当たらなくとも顔の前に剣先を突きつけられた状態であるため、勢いを殺さ
れて居着いてしまい、すぐには二の太刀もだせない状態に陥らせることができます。 

構え方は、睨み合う自他の視線上に剣先を置く形になります。 自分の目から見て、
まさしく言葉通り「相手の眉間に付ける」かたちとなります。

現代剣道では、「・・・に付ける」と表現する場合、延長線と考えるのが普通になって
いますが、これは竹刀がまっすぐであるために出てくる発想です。 真剣には反りが
ありますから、延長線は弧を描いて対象から逸れていってしまいます。

正眼と中段の関係については、項を改めて述べたいと思います。

お名前: くに   
これって、前に私が書き込みした先生の構えと同じですよね。
私も押さえ込まれちゃって、苦し紛れに面を打ちに行けば小手。小手に行けば抜かれて
面…と来ちゃうやつ。
あのときは、応じ技に向いている構えというように書かれていたと思いますが…。

お名前: Yutaka   
なるほど「直方体の魔力」ですか。
うん、正眼の構えには剣先からのビリビリビーム(笑)はないんだけど
体全体のオーラみたいなのが違うんですね。納得です。
正眼の構えをされると、どう攻めればいいかわからないし。
剣先で駆け引きが出来ないから、仕方なく中心から開いている(ように見える)面に跳びこむんですが・・・。(^^;) 
やっぱり結果はいつも同じ。。(笑)

う〜む僕もいつかは正眼の構えを出来るようになりたいものです。

お名前: Hide.   
to himさん

>Hideさんの説明、物凄く説得力がありますね。

アハハ、実は私もYutakaさんと同じような疑問を持ったんです。なんで剣線が中
心から外れてるのに打っていってもあたらないし、グワァーーーッと攻められて
しまうんだろうかって(笑)

我々が攻めるときは、自分の気を剣先から相手に向かって放射するようなイメー
ジですが、高段者の先生方からはそうした激しい「気あたり」は感じられません。
しかし、目に見えない壁が押し寄せてくるような圧迫感があり思わず「居着かさ
れてしまう」事がありますよね。これが「直方体の魔力」なのでしょう(^^)

私の師匠の渡辺敏雄の剣先は、直径2〜3メートルくらいのドラム缶のような形
に見えました(^^;

お名前: him   
Hideさんの説明、物凄く説得力がありますね。

最近、こういうことにトライし始めた中で、理屈という面ではサッパリ判っていなかったので、
目から鱗が落ちました。
しかし、剣道って難しいもんですなぁ。

お名前: Hide.   
to Yutakaさん

>高段者の先生方がとることの多い、剣先を相手の左目に付け左手が少し体の中
>心から左にずれる正眼の構えですが、なぜ高段者の方しかつかわないのでしょ
>うか?

けっこう難しいんですよ、これ(笑)

竹刀は直線ですから、相手の喉元にまっすぐ付けた場合、手元と剣先が作る図形
は三角定規のような三角の平面ですね。手元につけて床と平行にした場合は、面
ではなく線になってしまいます。

高段者のとる正眼の構(晴眼・青眼・晴眼・星眼など)は手元と剣先を結ぶ線を
図形にしますと直方体になるんです! つまり、通常我々が相手の喉元に付ける
など「中心」に構えているのよりも「厚味」が生じているわけなんです。この厚
味と奥行きが、高段者の先生にいくら打っていっても簡単にさばかれてしまう原
因でもあります(^^;

では、なぜ、高段者の方しか使わないのでしょうか?
この理由は明確です。
一見相手の中心を制していないこの構は、相手の「虚実」まで読みきるだけの精
神力と技量を兼ね備えなければ「ただ、剣線が外れているだけ」にしかすぎない
のです(^^;
つまり、形だけ真似しても、まったく役に立たないんですねヽ(-.-)ノヤレヤレ・・・


という説明で、メリットとデメリットについてもおわかりいただけましたか?(^^)
我々が真似してもなんらメリットはありません・・・。

お名前: トマトカイザー   
上段を執っている相手に使うっていうのは聞いた事が
ありますが、それは初耳です・・・。
どうしてなんでしょうね?

お名前: Yutaka   
高段者の先生方がとることの多い、剣先を相手の左目に付け左手が少し体の中心から左にずれる
正眼の構えですが、なぜ高段者の方しかつかわないのでしょうか?
正眼の構えのメリットとデメリットを教えてください。

やはり初心者は中段で最初から相手の中心を取っておいた方がやりやすいからでしょうか?
まぁ、実際常に中心を攻められていた方が恐いですが・・・。
では正眼の構えのメリットって一体・・・?
すりあげとかディフェンスに有利だってことだけですか???

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