記事タイトル:現代剣道と古流剣術のつながりについて 


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お名前: Hide.    URL
to 猫銀さん

>剣術=薙刀起源論もこういう下地があってのことで、歴史的関係性に固執
>しているわけではありませんので、その点はご了承ください。

了解です(^^)

ちなみに、電脳剣士稽古会には、なぎなたや二刀の方も参加されまして異種稽古が盛んに
行なわれております(って、二刀は異種じゃありませんが(^^;)。なぎなたの方ともいろ
いろお話を伺う機会がありますが、現代なぎなたも剣道同様、直線的な動きが中心になり、
「振り返し」などの伝統的ななぎなたの技法は形の中だけに変わりつつあるようです。
なんともさびしいことですね( -o-) フゥ

お名前: 猫銀   
to Hide.さん

仰られることはごもっともです。 偶然似ていただけで歴史的繋がりがあったとはいえ
ない、といわれればそれまでです。 長々と書き込んでおいてなんですが、私としても
始めから歴史的考察に着目して薙刀と剣術の関係を探っていたわけではありません。

私の文章から大体御察しのことと思いますが、剣道をかじっていてその後古流剣術の門
を叩いたクチです。 剣の稽古の中で「筋力や体力に頼らないわざ」というものを「重
力の有効利用」であると位置づけた際、長くて重く、重量が偏在している薙刀のほうが
技法の原理がわかりやすいのではないか、と考えるようになり、下のような考察に至ったわけです。 私自身、薙刀をたしなんでいるわけではありません。 一度稽古をお願
いして手も足もでなかった体験があるくらいです。

私もここ二、三年の間、Hideさんがいわれるような「完全な正対でないほうがいい
ような」と全く同じ疑問を抱えていまして、基本で習ったことが自分の中で崩壊しつつ
あります。 剣術=薙刀起源論もこういう下地があってのことで、歴史的関係性に固執
しているわけではありませんので、その点はご了承ください。

お名前: Hide.    URL
To 猫銀さん

>ものの見事に突っ込まれてしまいましたねー! 恐れ入ります。

いえいえ、こちらは生半可な知識しかございませんのに、失礼いたしましたm(_ _)m


>薙刀と太刀の稽古が分離されると、バランスをとるのにさほど大きな体勢の
>変化を必要としなくなり、足幅が狭くなり結果として姿勢も高くなっていった、と
>いうわけです。

う〜ん、実はですね、私は薙刀はたしなみませんが、小野派一刀流を独学で勉強しており
ます。組太刀の50本を打つ中で、いつしか姿勢が「完全な正対でないほうが打ちやすい」と
感じてきておりました。
元来、刀を振りぬくには、正対していたのではうまく振り抜けないのものなのではない
でしょうか(^^;
足を撞木とし、脚幅を広く取り、前後への体重の移動を使って引き切りをすることのほう
が、大きなパワーが得られる。これは、薙刀から出なくとも考え得ることのように思われ
ますが、いかがでしょうか??(^^)

お名前: 猫銀   
現代剣道とのつながりの話ではなく、定説化しつつある説明への異議申し立てです。

戦国時代から続く古い剣術と江戸時代以降の新しい剣術を分ける見方として、
「介者剣術」「素肌剣術」というものがあります。 介者剣術とは「鎧を介する」の
意味で、下から鎧の隙間を狙われたり転倒させられないようにするために極端に低く
構える形態をいいます。 江戸時代に入って戦に行って鎧を着用する用がなくなり、
姿勢をまっすぐにした自然体で構えるようになった、というのが素肌剣術です。

この説はたしか先代の柳生の師範が書かれた「正伝新陰流」が出元だったのではな
かったかと思います。 戦国時代に上泉伊勢守から伝えられた古い形は半身で上半身
が前傾し足を大きく踏み開いて腰を落とした構えであることに対してそのように説明
したのですが、私は、鎧の着用ではなくやはり薙刀術の影響ではないか、と考えてい
ます。

半身の低い姿勢は、よくいわれるような「腰を落として安定させる」ためではなく、
「足を大きく開いているので結果として腰を落としているように見える」のだと思い
ます。 足を大きく開く理由は、薙刀を前方に伸ばす際に前足を軸に、後ろ足を錘に
してヤジロベエの如く身体のバランスをとっていたからだ、と考えます。
この説は、恐竜の話を聞いていて思いつきました。 私が子供だった時分は恐竜とは
ゴジラよろしく尻尾を引きずって歩くものと考えられていましたが、近年の研究で、
二本足にしろ四本足にしろ、骨盤を支点に上半身と尻尾が吊り橋のように水平にバラ
ンスをとっていることが判明しました。 身体の構造で大きな自重を支え、少ないエ
ネルギーで活動できたのです。 人間には尻尾がありませんから、代わりに後ろ足を
つかって重量バランスを調整しより効率の良い運動を実現していた、と考えられるの
です。 薙刀と太刀の稽古が分離されると、バランスをとるのにさほど大きな体勢の
変化を必要としなくなり、足幅が狭くなり結果として姿勢も高くなっていった、と
いうわけです。

お名前: 猫銀   
ものの見事に突っ込まれてしまいましたねー! 恐れ入ります。

下の段、特に手首の返しのくだりは自分でも書いていて説得力が無いから止めようか
と悩んだんです。 しかし、その下の段で「いくつか挙げます」などとつい書いてし
まったので、見切り発車で出してしまいました。  
さすがに生半可な手は見逃してくれませんね。 その件は忘れてください。 

といっても、この話はまだ続きがありますので、あと一つだけ書かせてください。

お名前: Hide.    URL
to 猫銀さん

自説のご披露、ありがとうございました(^^)
刀の操作はたぶんに薙刀の影響を受けているっていうことですよね・・・って簡単に要約
しすぎですか?(^^;

でも、薙刀と刀に分派してからずいぶん長い時間が過ぎるわけですから、影響を受けたと
いうよりも刀を操作する中から自然発生的に生まれてきた技術と考えたほうがいいので
はないですかねぇ。
剣道形四本目仕太刀の巻き返しなどは、小太刀一本目二本目の仕太刀など片手による技の
中にも出てまいりますし、回転させて打つことが刀の反りを活かしてさらに大きな力を生
むことは薙刀から学ぶまでもなかったように思うのですが・・・。


>野球やゴルフ、テニスなどで球を打つ場合、フォロースルー(?)というか打撃の後
>で手首を返しながら振り切る動作がありますね?  筋肉や骨格の構造上そうなると
>思うのですが、剣道でも古流でもこういう動作は基本的にしません。

これは刃のあるものをスイングの方向と一致させて振りぬくためには仕方ないことなので
はありませんか(^_^ メ)  手首を返したのでは斬れませんから。これも「薙刀遺伝子」と
するにはいかがなものでしょうかねぇ。

お名前: 猫銀   
右諸手上段のように左手で鍔元を右手で柄頭を握る構えは現代剣道では変則的ですが、
薙刀では左右半身の入れ替え、手の持ち替えはごく当たり前の技術です。

また、剣道では刃部を握るのは反則になりますが、制定居合に添え手突きの技法が見
られます。 左手を刃部に添える技法も古流に広く見られますが、これも薙刀の動作
の名残と思われます。 手の間隔が広いほうが動きやすいからですね。 太刀の短い
柄を諸手で握る行為は手錠をはめられた状態に等しく、上肢ばかりか下肢の運動まで
制限が加わってきます。 ホッケーやラクロスのように諸手を一つの道具に拘束され
るスポーツでも左右の手の間隔が大きいのでわりと自由に走り回れます。 

もう一つ、手首の返しについて。
野球やゴルフ、テニスなどで球を打つ場合、フォロースルー(?)というか打撃の後
で手首を返しながら振り切る動作がありますね?  筋肉や骨格の構造上そうなると
思うのですが、剣道でも古流でもこういう動作は基本的にしません。 振り切る前に
とめる傾向があります。 「隙が大きくなる」「太刀筋や刃筋が狂う」などの理由が
先ず挙げられるでしょうが、私は薙刀の影響もあると考えています。 
薙刀のように柄の長い道具では柄が体につっかえて野球やゴルフのように同一平面上
で手首を返すような振り方はできないからです。 手首を返すのであれば、体や地面
に引っかからないよう回転面そのものも切り替える必要があります。 水平切り返し
が上手くできない、或いは剣道の選手に野球をさせると振り切れないという現象が生
じるのも、剣道に流れる「薙刀遺伝子」のようなものが邪魔しているからではないで
しょうか・・・・。

お名前: Hide.    URL
to 猫銀さん

自説のご披露、まだ途中のようですね。
楽しみにいたしております(^o^)

お名前: 通りすがり改め猫銀   
身勝手で済みませんが、今度は此処に間借りして自説を披露させていただきます。

現代剣道と古流剣術、というよりも古流剣術の源である薙刀の基本動作が剣道に残って
いる例をいくつか挙げてみたいと思います。

剣道形四本目に打太刀の突きを仕太刀が大きく巻き返しながらかわす動作があります。
この「太刀を大きく回しながら相手の打ち込みを受け流す動作」は、多くの古流剣術
にもみられる普遍的技法です。 この動作は、元々は受け流す技法ではなく、薙刀を
垂直面で連続して回転させる素振りに由来しています。

薙刀のように長くて先端が重い武器を上下に連続して振ろうとする場合、剣道のような往復運動では振り下ろすのを止め再び振り上げるのにとてつもなく大きな労力が要りま
す。 しかし往復運動ではなく回転運動であれば、打突点を過ぎた後、振り子のように
下方で回す勢いを利用してより小さな労力で振り上げることができます。 

この動作は、柄の長い斧で薪割りをしたり、工事現場で使う大型のハンマーで杭を打っ
たりする際にもみられます。 慣れないうちは餅つきのように上下の往復運動で振るの
ですが、ちょっとコツを掴むとクルリクルリと調子よく楽に振るようになるのです。
(上に続く)  

お名前: Hide.    URL
To 通りすがりさん

管理人のHide.です。

>単純に勢いよく真っ二つにすることかと思っていたら、実は「一刀の下に両腕を断つ」
>という技法からきているそうです。  相手の打ち込みをかわしつつ伸びきった両腕を
>狙って一撃で斬りおとす、という意味だそうです。 (19へぇ)

へ〜! そういう意味もあったんですか。たいへん勉強になりました!!(30へぇ)(^0^)

お名前: 通りすがり   
剣道ばかりでなく普段よく用いられるのであまり関係の無い話かもしれませんが、
トリビアを一つ。

「一刀両断」という言葉がありますよね?

単純に勢いよく真っ二つにすることかと思っていたら、実は「一刀の下に両腕を断つ」という技法からきているそうです。  相手の打ち込みをかわしつつ伸びきった両腕を
狙って一撃で斬りおとす、という意味だそうです。 (19へぇ)

お名前: 風月   
言い忘れましたが、切っ先をちょんちょん動かすのは北辰一刀流です。詳しい説明はまた今度。

お名前: 風月   
新陰流修行者の風月です。
そういえば、陰流系の構えを見ないので、寂しいです・・・。
脱線しましたね。では本題に移ります。
私の解釈ですが、昔、千葉周作という人がいました。
この人は北辰一刀流ですが、その人がはじめて(だったはずです)竹刀を使った竹刀剣術を起こしました。
なお、その話しはまた今度。
それから時を経て、マッカーサーが来日した際、そのころの剣道を・・・なんだっけ?・・・ともかく、戦のための武術と訳しました。
そのせいで、武術が禁止になり、廃退していったわけですが・・・
それを復活させた時「スポーツ」として、アメリカに納得させてようやくよみがえったそうです。
そのため、型以外では古流の技はほぼ消えてしまった・・・。
現代剣道が主に北辰一刀流の流れを汲む理由は、一番最初に竹刀剣術を始めた千葉周作の影響、と見ています。
・・・なんか、途中の説明、あまり意味ありませんね。
途中の説明は甲野ヨシノリ著の本に書いてあります。本の名前は忘れましたが、探してみるといいでしょう。
いろいろ、面白いことが書いてありますよ。

お名前: Tool1   
初めまして、割り込みすいません。面白い題ですね。

Hide様>
差し出がましいようですが。現代剣道のルーツとなった技は多数ありますね。
制定居合型に限った話ですが、多くは神道無念流、夢想神伝流などの各流派から学びやすい技を中心に選ばれ、微調整を加えた後に全日本剣道連盟制定居合型として完成した、と言う経緯から多面的に見ても諸流派混合と言えると思います。

お名前: Hide.   
To 和歌奈さん

おっしゃる通り一刀流の流れを組んでおりますね(^^)
ただ、同じ一刀流でもさまざまな流派がありますので、トピ主の尾張猫さんのようなご質問
になったものでして・・・。

お名前: 和歌奈   
初めまして、和歌奈と申します。現代剣道と古流剣術のつながりですか。剣道連盟の制定形がありますよね。その制定に関わった先生方の過半数が一刀流の流れを汲む人であったと記憶しています。名前は忘れましたが、いずれも有名な方々です。剣道史を見ればすぐ分かることなのですが。ですから、現代剣道は古流剣術では一刀流の色が濃く出ていると思います。しかし、一刀流そのものではありません。流れを汲んでいるというだけで、別物と化しているのが現代剣道の現状かと思われます。

お名前: Hide.   
to 尾張猫さん
>現代剣道と古流剣術は打ち方と打突部位はつながりがなく、
>技は小野派一刀流とつながりがあるということですね。
いえいえ、そういう意味ではありません(^^;

私はたまたま古流の形として小野派一刀流を勉強しておりますから、現代剣道と古
流剣術のつながりを、小野派一刀流を題材に考察してみただけで、小野派一刀流以
外の流派にも、現代剣道の技のルーツと考えられるものが多数存在していると思わ
れます。ただ、私にはその傍証をする能力はありませんが(^^;

>現代剣道は流派的には一刀流と見てもいいのでしょうか?
私も流派剣術にはあまり詳しくありませんので、なんともお答えのしようがござい
ませんm(_ _)m


to 戒さん
>袈裟切りとか斜めに切る技が主体だったからこそ真中を割って刀を弾き飛ばす一
>刀流の切落としが生まれたって事はないんでしょうか?
それはあると思いますね(^^)

お名前: 戒   
袈裟切りとか斜めに切る技が主体だったからこそ真中を割って刀を弾き飛ばす一刀流の切落とし
が生まれたって事はないんでしょうか?

お名前: 尾張猫   
 現代剣道と古流剣術は打ち方と打突部位はつながりがなく、
技は小野派一刀流とつながりがあるということですね。
現代剣道は流派的には一刀流と見てもいいのでしょうか?

お名前: Hide.   
うわぁ、また、難しいトピをお立ていただきましたねぇ。私のような浅学な者に
は、ちょっと荷が重い感じがいたします。多いに皆様方からのご意見をお待ちいた
したいと存じます(^^;


>ここで質問ですが現代剣道のなかに古流剣術は残っているのでしょうか?

まず、このようなご質問ですが、このご質問の意味は、
 1.現代剣道が中心の世に、古流剣術をおやりになっている方々が残っていらっ
   しゃるのでしょうか?
 2.現代剣道の技の中に、古流剣術の技が残っているのでしょうか?
というどちらでしょうか?(^^;

おそらく後者だと考えお話させていただきますが、技は残っておりますが、「打ち
方」「打突部位」などはまったく異なっております。

まず「打ち方」ですが、剣術(刀法)においては「引き切り」が主流ですが、現代
剣道においては「押し切り」がほとんどです(^^)

「打突部位」ですが、面・小手・胴・突はいずれも急所ではありますが「もっとも
狙いにくい部位」であります(^^; 実践においては、首・肩・胴を突き刺す・・・
なんて狙いが中心だったはずですね。


>また小手ー面、小手ー胴のような二段技や面返し胴のような返し技
>小手抜き面のような抜き技、小手すりあげ面のような基本的な技の
>ルーツなどを教えてください。

ルーツですか。これもどうお答えしていいか悩むところです。
小野は一刀流太刀組太刀50本の中に、「裏切」という形がありますが、これは、
仕太刀を表から攻め、表を十分に意識させておいたところで、やおら裏の小手に切
り込み、受けられた達を直ちに表に展開し面を打ちに行く(これも仕太刀に受けら
れてしまうのですが)という、打太刀から「コテメン」の連続技を仕掛ける形で
す。

同じく、抜き技やすりあげ技も、小野派一刀流には存在しますので、これらが
「技」としては昔から存在していたと考えることができるはずですが、こういうお
答えでよろしいのでしょうか???(^^;

お名前: 尾張猫   
昨年テレビで全日本選手権を見ていたとき、剣道の事を全く知らない
父が私に「この選手は北辰一刀流か、それとも柳生神陰流か?」と聞いてきました。
私は「今の剣道に流派はない。」と答えました。
ここで質問ですが現代剣道のなかに古流剣術は残っているのでしょうか?
また小手ー面、小手ー胴のような二段技や面返し胴のような返し技
小手抜き面のような抜き技、小手すりあげ面のような基本的な技の
ルーツなどを教えてください。

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