剣道の国の東方、斬岩剣城−。
ここが、剣道の国第二の羅将、「柔和」の史裕の居城である。しかし、彼は普段、この城には
居らず、大抵の場合、剣道の国の巡察と称して遊びまわっているか、愛人の邸にヒモとして転
がりこんでいた。そして、今また彼は、自分の私用の為にこの城を留守にしていた。そんな
所に、英幸、史裕の師父であった重徳が、史裕の竹刀を封じる為にこの城にやって来ていた。
彼が門を通って城の中に入ろうとすると、番兵がそれを制した。「おい、コラ!じいさん、こ
こはあんたのような薄汚い連中が来る所じゃないぜ。痛い目に遭いたくなきゃ早々と帰った
帰った。」重徳は、こう言って小ばかにした口調を聞く兵を横目で睨み付けると、静かにこう
言った。「お前達には用は無い。ここの城主、史裕に会わせよ。」「な、何ィッ!!おい、ジ
ジイ、恐れ多くも、この国の第二の羅将、史裕様を呼び捨てにするとは何たる無礼者だ!!
成敗してくれるわ―ッ!!」そう言うや否や、番兵達は一斉に重徳に襲い掛かったが、彼はこ
れを難なくかわすと「キンピラ!!」の咆哮一声、その全身より剣気を放ち、触れる事無くし
て、兵達の体を内部より破壊し、引き裂いていった。
「あわわ、い、今のは、もも、もしや、ふ、史裕様と同じ剣、不動琉剣!?」「じょ、冗談じ
ゃねえ、お、俺達がそんな化け物相手に闘って勝てるかッ!!」「案ずるな。お前達の一本
をとった所でどうにもならぬ。史裕を呼んで来い。そうすればこれ以上一本を取ったりはせぬ。
」「あわわ、ふ、史裕様は・・・。」その時、重徳のいる門の方へと向かってくる一軍が現れ
た。史裕の率いる戦車隊が城に戻って来たのである。彼は、何やら門の方が騒がしい様子であ
ったので、そこに向かうと、番兵達が取り乱していた。「お前達、一体どうしたと言うのだ。」
「あ、史裕様。こ、このご老人が、な、何やらお、お話があると、」「久しぶりだな。史裕。」
「こ、これは重徳様。お変わりの無いようでようございました。見れば、我が番兵供が何やら
無礼を働いたようでございますが、きょうは一体、℃のような御用で・・・。」「堅苦しい
挨拶などどうでも良い。今日はお前の一本を封じに来た。」「?」
聞こえなかったのか、お前の一本を取ると言っているのだ。」「?」