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枯木鳴鵙図 観賞記
日時: 2016/05/01 02:33:31
名前: だみ声  < >

枯木鳴鵙図 観賞記

僕は、古希を迎えた昨年の誕生日から10か月目で、今年は71歳になります。
小学校、中学校、高校と、それぞれ卒業生の誰かが音頭を取って、「古希同窓会」なるものが開催され、声をかけて
くれる所へは出来るだけ参加しております。
同じ卒業生でも、同窓会レベルとクラス会レベルがあったり、部活レベルや、気の合った仲間レベルまで大小さまざ
まです。
昨日4月29日には、高校時代の部活動(恥ずかしながら剣道ではなく、演劇部)の同窓会があり、参加してきまし
た。 開催地は神戸、新幹線はジパングクラブが使えない時期ですので、普通の価格を支払ってきました。
でも今回の集まりは、今年になって相次いで亡くなった後輩二人を偲ぶ会としてのものでした。 自分より若くして
先に逝ってしまう後輩を偲ぶと言うのには、複雑な気持ちも錯綜し、番狂わせの現実を実感しました。


そして今回の参加にはもう一つの目的もあり、ここではそちらに重点を置いて書いて行きます。

実は昨年の夏、宮本武蔵の「枯木鳴鵙図」は大阪府南部の和泉市の久保惣記念美術館が所蔵しており、毎年5月頃に
展示されると言う情報を入手しておりました。
幸い奈良市に親戚がおりますので、昨夜は一泊させてもらって、今朝電車を乗り継いで和泉中央駅で降り、循環バス
で件の美術館を訪問して来ました。
明治のころ、「綿」取引で財を成したと言う久保惣右衛門一族が、市へその所蔵品と共に寄贈したと言う話も紹介され
ていましたが、結構贅をつくした立派な美術館でした。

そして目の前で見る「本物」の枯木鳴鵙図。 印押はありません。
一本の垂直に立つ枯れ木の先端に鵙(もず)が止まり、枯れ木を這いあがって来るいもむしを狙っているのか…
あるいは、鵙は剣の道の頂点を意味し、修行中の剣士に例える「いも虫」が武蔵自身なのか… 更に枯れ木を刀身に
見立てて眺めると、鵙はいもむしを捕獲するとき、翼が少しでも刃に触れると、もはや飛べなくなるだけでなく、巣
へも帰れない。
けっしていもむしは弱い立場でもなく、しっかりと攻防をくり広げている…? と見るのか…
鋭い鵙の目付きには、激しい攻撃性を感じますし、いもむしはまだ狙われている事すら気付いてないとも思われます。
大阪には「百舌鳥(もず)」と言う地名もあり、宗右衛門氏はそれゆえこの絵を購入した? のでしょうか。
更にその他の墨の濃淡からうかがえる背景と、あえて広く取ったと思われる空間との調和。 しかも純白ではない紙
質は、却って荒廃した当時の時代背景まで、感じさせてしまいます。 枯葉の所は一部、筆ではない「へら」のよう
なもので書いたのではないかと思われる角のある書き方で、緊張感を増長させているように感じました。

後に「五輪の書」を書き残した武蔵の、この絵に込めたものは何だったのでしょう?  双方の共通点とか、いろい
ろ考えてみるといろんな解釈があって、面白いと思います。 何しろ「剣豪宮本武蔵」とは一線を画した「芸術家宮
本武蔵」ですから、想像の域は広がるばかりです。

更に熊本の島田美術館にあるという、もう一つの「枯木鳴鵙図」(実物を見たことないですが、どちらか言うと少し
穏やかな感じがする…)との比較なども、その書かれたのはどちらが先か? 等も含めて考察するのも面白そうです。

専門家の皆様や、剣士の皆様にはもっと深い考察もあるのかもしれませんが、今回僕が本物の「枯木鳴鵙図」を前に、
感じたものを書いてみました。
すぐ近くの桃山学園構内にある和泉市歴史館には、「時代小説に登場した刀剣類」と言うテーマで、南北朝、戦国時代、
鬼平犯科帳、赤穂浪士、新撰組疾風禄、国定忠治などにまつわる刀剣の展示もあり、刀剣の歴史とともに興味深く観賞できました。
メンテ

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